眼内レンズ強膜固定術
眼内レンズ強膜内固定術とは
通常の白内障手術では、水晶体嚢(袋)を残したまま中の濁りを除去し、水晶体嚢の中に眼内レンズを固定しますが、何かしらの原因で水晶体の袋を残すことができなかったり(チン小帯脆弱、水晶体落下など)、一度入れた眼内レンズが袋ごとずれてしまった場合(加齢性変化、水晶体落屑症候群など)に行われる手術です。(図1)
眼内レンズのループ(支持部:脚)を強膜(眼球の白目)に直接固定する眼内レンズ強膜内固定術が広く行われています。
眼内レンズ強膜内固定の実際
麻酔は点眼麻酔に加えて、テノン嚢下麻酔あるいは経結膜球後麻酔(結膜を小さく切開して目の後ろ側に入れる麻酔)で行いますので、手術中の痛みはほとんど感じません。
手術は強膜に約3-7mm程度の傷口をつくり、ずれてしまっている水晶体や眼内レンズを摘出します。(眼内レンズはそのまま固定に利用できるケースもありますが、挿入された眼内レンズの材質や状態により判断します。)
また、眼内の硝子体の線維が眼内レンズに絡んだり、創口から脱出するのを予防するために硝子体手術を併用し硝子体を切除します。
次に眼内レンズを眼内に挿入します(図2 A)。眼内レンズは強膜内固定用のレンズを使用します。30G(直径0.4mm)の細い注射針をガイドに使用して、眼内レンズの脚を強膜を通過させ眼外に誘導し(図2 B)、眼内レンズの脚を熱で加工し(図2C)、その脚を結膜の下に埋め込んで眼内レンズを固定します(図2 D)。この操作は無縫合で行うことが可能です。
従来行われていた縫合糸を用いる眼内レンズ縫着術とくらべ、低侵襲・短時間の手術で、術後の痛みや異物感は少ないとされています。
出典:Flanged Intrascleral Intraocular Lens Fixation with Double-Needle Technique. Yamane S, et al. Ophthalmology. 2017.